いよいよ師走になりましたが、今回は緑内障の現状についてお話しします。
緑内障は、(a)異常眼圧(目の硬さ)により視野障害が起こる。(b)1度視野障害が起こると元には戻らない。(c)徐々に(数年から数10年)視野障害が進行し最終的に失明する、などを特徴とします。そこで早期発見・早期治療が視野障害の進行をくい止めるポイントになります。
①緑内障は網膜神経線維の伝導障害 網膜から脳に視覚情報を伝達する網膜神経線維はおよそ120万本あります。眼圧が正常を超えた状態が続くと、この神経線維の一部が視神経乳頭部で損傷され、情報が脳に伝わらなくなります。障害の程度が軽い段階では視野に異常は起こりません。これは網膜内にある細胞同士が互いに連絡をとりあい、機能低下を起こさぬような防御システムが働くからです。しかし神経線維障害の増悪(ぞうあく)に伴いこのシステムは機能しなくなり、視野異常が生じます。この視野異常の発現が即ち緑内障の始まりです。いずれにしても視野異常が起こる前に神経線維の障害が必ず先行します。光干渉断層計は神経線維障害を検出し、視野異常が発症する前の極早期緑内障の存在を明らかに出来ます。
②どうすれば緑内障から目を守れるか 緑内障を診断する優れた機器があっても、検査を受けなければ緑内障を発見することは出来ません。現在40歳以上の20人に1人が緑内障と言われているにもかかわらず、早期緑内障で視野障害を自覚するのは10人に1人、視野の半分が欠損しても30%の人は気が付いていないと言われます。これはほとんどの緑内障は自覚症状に乏しいこと、通常両眼で見ているため視野障害を認識できないなどがその理由です。視野障害前の極早期緑内障が診断可能となったいま、緑内障検診(特に40歳以上)を積極的に受けることを強くお勧めします。
来年も皆様の目の健康が維持され、今後も快適な生活が続けられることをお祈りいたします。